デザインの本 / タイポグラフィ
世界の最新タイポグラフィックデザイン- ロジャー・フォーセット・タン 編、デビッド・ジュアリ 文、和田侑子 翻訳(ピエ・ブックス、2007年7月発行 )
2004年から2006年を中心に、雑誌、ポスター、レコードジャケットなどのタイポグラフィを紹介している。
(1)フォルムとしてのタイポグラフィ
(2)イメージとしてのタイポグラフィ
(3)実験としてのタイポグラフィ
(4)動きのあるタイポグラフィ
の4部構成となっている。
(1)は市販書体を使ったタイポグラフィの新しい方向性を追求したデザイン。これまでのタイポグラフィ集やグラフィックデザイン集と同じ事例が集められている。本書の特長はこの(1)ではなくて、絵のような手描き感覚のタイポグラフィを紹介する(2)にあると思う。
絵のようなということでは、牧歌的な作品もあるが、多くはエキセントリックで緊張を強いるタイポグラフィとなっている。解説によると、不協和音がいっぱいの都会で注意をひくには、文字を抽象的なイメージに変質させ、できるだけ騒ぐことだと書いてある。発行部数の多い印刷物の場合は活字とイメージについて一定のレベルを確保できる。つまり編集者などによってコントロールされて秩序ある騒音レベルが維持されるというわけだ。
しかし、街頭ではボリュームをあげっぱなしにすることになる。このような素材をタイポグラフィ用語で「ノイズ」と呼ぶそうだ。街のグラフィティもノイズのひとつだと思われるが、本書ではグラフィティを名指しをしていないが「心ない破壊者」と否定的にとらえている。
今は音楽でもそうだが、ノイズを避けることはできないと思う。安定を求め、変化を求めない立場からは騒音以外のなにものでもないが、安定や不変に不安を覚える立場からはノイズが活力と新しいインスピレーションの源となっている。
この(2)が一番大きなボリュームとなっていることが本書を特長づけている。続く(3)と共に、これまでのタイポグラフィ集とは質的に違うものになっている。(4)は動画などのタイポグラフィだが、印刷物で眺めていてもインパクトが伝わってこない。ページ数も少ない。
(2008年8月24日 記)

